夕暮れ
作詞・作曲:村松 賢 僕は昨日に君を預けて、誰もが辿る道の先へと。 夕焼け空に朝をなぞって夜通しに鳴く鳥の響きに似た。 思いを届けられたら、唄う意味も見つかるような。 思い出す事で繋がる声。 ありきたりな言葉でも伝うように。 思い出で纏う願い事を、空を眺めて笑い飛ばしてみるよ。 僕はいつかに夢を無くして、傷を描いた地図。滲む涙を 最低限の距離で測る。 壊れないように離れないように。 意識するたび過去に変わる、塵と涙を集めた僕の体。 いずれ無くなるのなら。 立ち上る煙と理想像は、いつでも揺らいで止まって、それでも明日は続くんだろ? 追いかける理由をすり減らして、 誰でも1人ぼっちの夜だから、抱き止める強さを探している。 傷ついて初めて知る温もりを、噛み締めて行くしかできないから |
ホーチミン
作詞・作曲:村松 賢 空気圧重く熱を帯びてく、いつだって僕は君を待ってる。 あの熱帯の君の街なら、僕には無い何かがあるの? 君が望まぬ夢でも食らう僕の本性。 報われぬなら夜明けを捨てて、その先の世界の終わりを。 引き止める君の声はまだ僕の街には届かぬようだ。 君にとっては肌寒い夏だったけど、嘘も夜も無関係になる。 最大限の嘘でもって僕は僕として生きてくんだ。 何が大切な事を分かったをふりして。 太陽も通り雨もたぶん全てのものを無くしても、君の為の言葉なんて思いつけず。 空っぽの中身を隠すように、トゲトゲしく冷たい外見。 ここらで有名な浜辺も君ほど澄んではいないだろう。 片方だけのビーチサンダル。 振り返らず消えた君が手のひらに残る。 僕らは何か無くす事で、自分が何なのか知るのなら、それが僕だって諦めてもいいだろ? あの時すれ違っていたら、それでも波は繰り返したの? 重なる鼓動思い出をさらっていけ。 相合い傘と土砂降りの雨、君と僕。 いつも同じあの熱の正体。 最大限の嘘でもって僕は僕として生きてくんだ。 一人ぼっちになることが怖かっただけ、自分らしさなんて幻も、結局僕を守る為だった、僕にとって大事なもんはきっと 言葉になんか出来なくて、でも伝えなくちゃいけない事の筈で、あぁこの涙はいつも君だけのものだったの。 空気圧重く熱を帯びてくいつまでも僕は君を待ってる…。 |
よだかの星
作詞・作曲:村松 賢 昨日と今日と、僕とあなたと、これからの事も。 いつの頃から?他の誰かとすり替わって。 うろたえる事も恐れもないなら、僕には今だけ。 今だけの声であなたを歌えるのでしょうか。 知らんぷりをしてた星座の言葉。あなたが詳しい、物語の先。僕の日常を掠めて。 僕は僕じゃない虹色のハネ。 まとう毛皮。 美しいしかばね。 同じく価値は無い。 夜空を飛んだ隠した土色。 救ってはくれない。 見下ろす羽ばたかぬ鳥たち。 「丸見えだ、君の醜さも」 僕が持ってないものを、当たり前だと笑ってる。 あなたが見てなくたって、届く星を探しているから。 照らす太陽。 あなたを隠す。 伝うべき言葉。 朝の声。 変わらない朝が誰かを照らすなら、夜じゃなくたって輝ける星になれるだろ? 僕が持ってないものを、当たり前だと笑ってる。 あなたが見てなくたって、届く星を探している。 誰も持ってないものを誰もがきっと持っているから、忘れないように僕は歌うんだよ。 |
クロール
作詞・作曲:村松 賢 しがみついてる半端な色のイチョウの葉。 爪先立ちクロール。 あの感触を思い出してる。 いつの間に君は大人になっていて。 遠い目をして幼い僕を思い出すだけ。 薬指光る証は僕の知らない日々を語る。 強がり叶わぬ僕の弱さも、サヨナラ追い抜く意味も、ぬかるみ足を取られ熱を無くす。 あの頃僕が憧れた大人というもの。 ちょうど今の君のように虚空を見ていた。 過去と今切り離すように笑ってさ、他人めいた言い訳で言葉を濁す。 積み重ねた日々への思いは、諦めなんかじゃなくて。 強がり叶わぬ僕の弱さを、笑ってくれる君はもういないんだね。 昨日を笑おう。 さぁ手を離して、思い出だけの日々に。 爪先吊ったって明日を泳ぐ。 思い出、涙も忘れて生きる事。 僕には出来そうもないから君をとうぶん忘れないでおくよ。 消せない思いも、涙も僕を歩かせ、僕だけの世界を照らすのなら、どこまででも、歩いていけるよ。 |
ジムニー
作詞・作曲:村松 賢 認めて欲しくて穿った月と朝靄遠く誰かの声、いつものリズムと焦げた匂い。 期限付きの日々は進むよ。 僕が僕と名付けた鉄の匂いのカラクリ自走機関。 めぐる鼓動と小さな手と手。夕暮れと同じ色だね。 行ける所までで良い。 どうか、この手を離さないで。 思い出の君なら、乗り遅れたままで雨が来る。 離れぬように伝う事、鼻歌もすべて、いつかの僕らを 思い出なんかじゃなくて、僕の居場所にする。 手に入れたものの儚さと愛しさを覚えているのか? 無くして気付くじゃ遅すぎるから、僕は明日を夢見るんだ。 ぎこちない手足に。 油をさしてくれないか? 願う通り明日が、来るとでも思ってるのか? いつでも、 悲しみに理由を探して、僕の体から引き剥がしてんだって。 出来るなら笑っててよ? 僕を忘れるくらいに 認めて欲しくて穿った月と朝靄遠く誰かの声。 違ったリズムと君の言葉が僕を忘れないようにと。 僕も居なくなるよ。 いつか君と同じように、それでも笑えるの? 君との思い出だけで十分だろ。 離れても良い。 伝う事、いつもの歌を君と同じように しがみついたその腕に理由を探した。 繰り返す不規則なリズムでも君を思うけど 摩擦で軋む僕の日々よ、まだつないで |
ニコチン
作詞・作曲:村松 賢 この街では僕の知らない事ばかり起こって、他の誰かも忘れそうになるんだ。 僕らのこれまでも限られたものだったから、きっとすべては信じれないんだ。 サヨナラ いつだって現実味なんてないさ。 君もそうだろう? だから、僕が君と居る時は少しも先なんて見えなくて。 いつものすかし顔で本音をタバコの煙に巻く。 君がかっこいいと言う、僕のしぐさ。 とても嬉しいけれど、どうも後ろめたいな。 サヨナラ 何度も繰り返してきた筈さ。 君もそうだろう。 だから、僕が君と居る時は1つでも忘れないようにと。 いつでも笑えるようにと思い出をしまっているんだろうな。 サヨナラ だれだって誰かに依存してるんだ。 君もそうだろう? 手を繋ぐあの温もりも、君の本音も疑う日々ならば、僕は明日を忘れてもいいって思うんだ。 ねぇ君もそうなら シャナナグッバイ、ウナイテコナ。 口笛も臆病も強がりも、捨てずに重なってく日々と、思い出と、さぁ行こうか |
水面
作詞・作曲:村松 賢 「昔話をしよう」 これから出会う誰かと景色。 向かいに居る君の話を。 「約束覚えてる?」 色褪せぬ君の声に僕は声も出せず頷いた。 ブルーの夢の縁。 虚ろな僕の船。 いつも繰り下げる現実を唄う。 いずれにせよ僕らには 許されぬ時間と距離だ。 ほらね、「君と僕」で分かつだろう? ねぇ僕を弁護する数多の嘘たち、君にとっての歪んだ僕を消して。 僕らそれぞれの世界。 重なること無く生きる罪。 君が疎う僕、鏡で見た僕の影。 僕らが確かめる、レンズ越しの青空は。 昼と夜の僕らを今も確かに繋いでいる。 「迎えにいくよ」 君の町には咲かない花とこれまでの思い出背負って。 僕が見捨てた僕。 いつも忘れられないその僕を認める事にするよ。 ねぇ悲しみに涙を流す君も夢の中で笑顔の君も同じ質感で 僕らそれぞれの世界。 重なる事なく生きる罪。 僕の目に映る君はきっと僕が見たいままの君。 虹の根にある夢の縁。 約束しよう、いつかきっと、僕らだけをこの景色に添えよう。 僕らそれぞれの世界重なる事なく生きる意味。 繰り返そう、手を繋ぐ意味が無くとも 僕と君だけの世界。 重なる事なく生きる罪。 誰でも良い僕の本当を映して。 今はもう対岸に居る君の本当を映せたら、いつかどこかで会える時が来るでしょう。 「昔話をしよう」 隣に居る君の声に僕は声も出さず頷いた。 |
フィクション
作詞・作曲:村松 賢 誰かを騙した嘘で騙す感情。 孤独を慰めるつぎはぎの君。 指を絡ませ、熱を持ったら継ぎ目のない肢体にキスをする。 遠い誰かの面影残す横顔に触れる僕の牙。 時が意味を無くし、夜が来たなら僕らの輪郭が溶けていく。 今ではもう名前さえ思い出せない誰か。 息を殺しても残る鼓動。 無意識に僕が向けた嘘。 ずっと知っていたよ僕というフィクション。 繰り返す台詞 さよなら僕のさび付く本質と思い出の日々 息を殺しても残る鼓動。 無意識に僕が向けた嘘。 ずっと知っていたよ僕というフィクション。 繰り返す台詞「愛してる」 息を殺しても残る生と、僕を縛り付ける嘘たちと。 何度も繰り返す、無情なフィルム。 焼き付く死と嘘。 |
樹海
作詞・作曲:村松 賢 夜を待って家を出た。 雨上がり、ぬるい風。 濃密な空気を濁す、三日月が1つ。 手探りで湿る君。 その円をなぞって。 この手に残る感触で、つなぎ止める日々。 環状線。 抜けて、泳ぐ線路。 無機質な笑顔と憎悪。 繰り返している僕もまた、誰かの言葉で。 「捨てないように」と歌う偽善者だろう。 もう充分たった。 僕の代わりを捜してくれ。 碧色の海深く。 耳鳴り、重なる声は、僕の自我と交差して、ギシギシと軋む。 先頭を走る僕がけして追いつけない僕。 思い出。知った風な口振りで語る君が 捨てないようにと歌うその裏側で見え隠れする。 つぎはぎの僕の本当を。 彼岸を渡る深海魚。 鋭い月が刺さる。 僕が描いた円をなぞって。 始まりを目指すように。 環状線。 抜けて、迷う僕と、流されるだけの日々を。 流されただけの僕をここに捨てて 寂しさもきっと、僕を越えることはなくて。 ただ、僕はひたすらに、罪を隠したのだろう。 ねぇ君に精一杯で届く距離と声を、もう一度僕に与えてくれないか。 |